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UXを本気で追求していますか? 売上げやコンバージョンの向上は表示速度で決まる。

インタビュー・占部雅一(メディアプランナー)

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左:SOASTA 秋山英二氏 右:占部雅一

「UX(ユーザーエクスペリエンス)の悪いサイトが、売上げもコンバージョンもいいわけないですよ。UXを追求することが勝利の法則でもあります」

そう言い切るのは、米SOASTA社のジャパンカントリーマネジャーを務める秋山英二氏です。日本ではあまりなじみはありませんが、米国には、パフォーマンス(表示速度)コンサルタントが5〜6社ほどあり、中でもSOASTA社は「ビジネスメリット」、つまりどれだけ成果が出るか明らかにすることをビジョンとした会社です。

パフォーマンスはビジネスにどう影響するのか?

これまでもAmazonのグレッグ・リンデン氏やGoogleからの発表などで、表示速度が売上げやサイトからの離脱に大きく影響するという因果関係が何度も説かれてきました。「0.1秒の遅延で、1%のコンバージョンが下がる」「表示に5秒以上のかかると74%のユーザーは離脱してしまう」などです。

しかし、こうした表示スピードの問題をいくら伝えても、ユーザー側には、あまりいい反応は返ってきませんでした。

「以前は、サイト表示速度のビジネスへのインパクトが把握できず、お客様は『速くなりましたね。ありがとう。でも、ROIは?』と、客観的な評価ができない状態でした。表示スピードの目標に対して、得られる結果が曖昧だったからです」(秋山氏)

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SOASTA社の日本代表 秋山英二氏(47歳)通信会社〜アカマイを経て2015年7月に同社に合流

それら表示速度とビジネスの因果関係を明らかにし始めているのが、同社のmPulseという分析プラットフォームです。mPulseは、2012年にリリースされたリアルユーザーモニタリング(RUM)ツール。mPulseを使うと、Webサイトで実ユーザーの体験している速度データをすべて収集し、さらにサイト表示速度による売上げやコンバージョンへの影響を数値化、視覚化をすることができます。いまではEコマースなどコンバージョンを追求する企業や、メディアなどのPVや滞在時間を追求する企業に多く活用されているそうです。

「例えば、米国でインターネット売上げ4位のSTAPLES社ですが、早くからサイト速度の重要性を認識しており、mPulseを使ってサイト速度とコンバージョンの相関を可視化して、コンバージョンに最も影響するページを分析しました。そして、フロントエンドのページを高速化させることで、中央値を1秒速くさせ、結果、コンバージョン率を10%上げることに成功しました」(秋山氏)

1兆円を超えるオンライン売上を持つ企業なので、この対応で1,000億円以上の売上増につながったといいます。これはすごい数字です。

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mPulseのダッシュボード:現在のパフォーマンスを正確に把握する

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mPulseのダッシュボード:目標達成のために改善するべき箇所を見抜く

欧米に比べて3年以上は遅れてしまった日本

「こうしたパフォーマンスに対する意識は、日本は欧米に比べて3〜5年は遅れているのでは」と秋山氏は言います。欧米では、2008年にAberdeen Group(IT系の調査会社)が、「1秒の遅延は7%の売上げロスをまねく」という調査発表をおこなったり、Velocity Conferenceが始まったりと、サイトパフォーマンスへの意識が高まり始めました。また、2012年にはRUMが生まれ、企業が実ユーザーの体験している速度を計測し、そのビジネスインパクトを分析する取り組みが始まっています。

まずは実態を知ること。速いサイトでも、遅く見ている人もいる。

どうしてこれまで、パフォーマンスに対する関心が薄かったのでしょうか?

「お客様の多くは、自分のサイトがいったい何秒で表示されるのかが分かっていません。実際のパフォーマンスが把握できていないのです。また単純に社員がテストしたり、定点観測でチェックするだけでは不十分です。たまたまネットワークが遅かったという理由に限りません。特定のページが遅かったり、あるページ要素が時間を食っていたり、ブラウザにより違いがあったり、原因はさまざまです」(秋山氏)

さらに、モバイル環境では、一般的にかなり速いというサイトでも、2〜3割のユーザーは、遅くなった表示で見ているという事実もあるといいます。

「メディアン(中央値)が3秒のページでも、75パーセンタイル(速い方から75%目、遅い方から25%目)は7秒といったことはよくあります。つまり、ユーザの25%は7秒以上もかかるページを見ています。ブラウザ、特定のページ、特定の画像、あるいは、サードパーティコールなど、遅くなる要因はいくらでもあります」(秋山氏)

ネットワークとファイル容量が遅くなる2大元凶

SOASTAの小売業調査では、2〜4秒内で表示されないと、離脱が大きく増える傾向にあるといっています。さらにモバイルだとユーザーは辛抱強くなく、グーンと離脱が増える傾向にあるといいます。

「遅く表示される原因のひとつは、ネットワークによる影響です。ある状態では速くても、ある状態ではとても遅くなるということはいくらでも発生します。駅の構内、繁華街、イベント会場、ちょっとした電波が不安定な場所は少なくありません。こうした特定の時間やエリアによる損失を防ぐことが重要です」(秋山氏)

「次にぺージ容量です。離脱を防ぐためには、ファイルを小さく作る、できれば1MB以下に抑えることが重要です。2011年には平均400KBだった1ページの容量が、いまでは平均で1MB以上に肥大化しています。なかにはレスポンシブウェブデザインで多く見られるように、3MB〜5MBなど信じられないほど大きな容量のサイトが存在したります」(秋山氏)

表示速度の低下要因として、ページの肥大化の影響は深刻です。画像はページサイズの7〜8割を占めます。次がJavaScriptです。これらをいかに削減するかを根本的に考える必要があります。画像は、端末・ブラウザやネットワーク種別により、圧縮率を最適化すると効果的で、できるだけ軽量なページを作ることが大事です。次にCSSやhtmlのソースを正しく記述することも重要だといいます。

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画像とJavascriptの合計は、全体のファイル容量の7〜8割を占める

改善すべきは9割がフロントエンドの問題

パフォーマンス改善の対応方法として、サーバーや回線の増強などハードウェア系のバックエンドの強化を考えがちです。しかし、実際はECサイトやメディアサイトのように、ページ容量が大きいサイトでは、ロード時間への影響はフロントエンドの問題が9割を占めます。

「コストパフォーマンス的にもフロントエンドから先に手をつけるのが合理的です。フロントエンドを片付けないと、遅延の原因を正しく把握できない場合もあるからです」(秋山氏)

「スマホだからリッチな表現」を!逆効果になることも

一方で、Web担当者の意識も問題のようです。多くのWeb担当者が持つ誤解のひとつに「スマホの小さい画面でもしっかりとブランド訴求したい」ということがあります。アパレルや化粧品会社などで多くみられますが、美しくきれいな画像を表示させたいという思いから、とんでもなく表示の遅いサイトが存在します。

「いくら魅力的なコンテンツを用意しても、見られなくては意味がありません。遅くて見られない、遅くてイライラするサイトでは、ブランド的にはダメです。見られない素晴らしいコンテンツに価値がありますか?」(秋山氏)

同様に、iPhone6はレティナ・ディスプレイだからキレイに見せたい方がいますがどうでしょうか?

「表示が遅くてほとんどが離脱するようなら、検討が必要です。これらを無視するマーケティング担当者がいれば、それは役務としてどうなのでしょうか」(秋山氏)

メディアにとってのスピードの価値

さて、これまではEコマースなどのパフォーマンス重視のサイトについて語ってきましたが、メディアサイトのパフォーマンスはどうなのでしょう?

「メディアサイトもPVや滞在時間こそがサイトバリューです。その大切なPVや滞在時間が下がるということは、メディアの価値も下がることを意味しています。一部で、ネット広告の売上げを減らさないために、モバイルサイトを準備していないケースもありますが、目先だけで未来を見据えていないからでしょう」(秋山氏)

確かにPVを上げるために、さまざまな努力をしているはずなのに、それを落としてしまうアプローチは見直していかないと、ユーザーはどんどん離れていってしまいます。

実際のページ計測をしていないことが、スピード対する低い意識となる

それにしても、モバイルシシフトの時代に、なぜ旧来の感覚が残り続けるのでしょうか?

「多くの理由として、実態をデータとしてみていないことが原因です。自社のサイトで、悪い体験をしている人の割合がどれだけいるのか? そうした実態を正確に把握するアクションが必要です。そのためにも、ぜひパフォーマンスの計測をしてみてください。またフロントエンドパフォーマンスに精通したエンジニアが少ないのも日本の課題ですね」(秋山氏)

まとめ

「パフォーマンスの価値をもっと理解してもらって、UXの優れたサイトを作る」。それはユーザーフレンドリーなサイトをとことん突き詰めることにつながります。UIだけでなく、UXをとことん追求することで、売上げ、コンバージョン、PVの拡大につながっていきます。
「パフォーマンス=表示速度は欠かせない」これがUXのための必要条件です。ぜひこれからは、サイトスピードにも注目してみてください。

一瞬をつかむモビファイ。

アダプティブWebのモビファイならば、高速表示を実現します。しかもモビファイで作られたweb構造はどのページからも同じコンバージョンページとなるOne Web(1つのweb)。高速表示のレスポンシブウェブデザインのサイトをリニューアルなしで構築できることがポイントです。

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モバイルUXに必要な条件

最適表示だけでなく、表示スピードやOne Webが大切な条件となります。

この記事を書いた人
C1-5 占部雅一
株式会社ドーモ 代表取締役
雑誌の編集者を経て1995年にWeb制作会社を設立。女性コミュニティサイトの立ち上げ・運営、メディアサイトのコンテンツや広告開発に従事。近年は「マルチスクリーン対応」を意識した企業サイトのモバイル対応を推進。ユーザーベネフィットを生み出すモバイルWebの在り方を提唱している。
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Mobify(モビファイ)とは

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