先月発表されたソニー生命保険の調査によると、現在、シニア層(50歳から79歳まで)の34.9%がスマートフォンを利用していることが明らかになりました。昨年のちょうどこの時期、モバイルラボでも、シニア層のスマホ利用率が増えているという記事を掲載しましたが、当時と比べて約7%も増えていることになります。
シニアの3割以上がスマホを利用、フェイスブック利用は25% ―ソニー生命
増えているのはスマホだけではありません。同調査によると、シニア層によるタブレットの利用率は19.5%もあり、世帯普及率が28.3%ということを考えると、数字の上ではシニア層によるタブレット利用は増えていると言えそうです。マルチデバイス化の波はシニア層にも広がりつつあるようです。
出典:トラベルボイス
また、スマホの利用率増加にあわせて、シニア層によるSNSの利用率も増えているようです。facebookの利用者は25.2%で、LINEの利用率は23.1%。LINEに関しては、2014年よりも6.9%増加しています。数字だけで言えば、シニア層の約4人に1人は、何らかのSNSを利用していることになります。
出典:トラベルボイス
シニア層によるスマホの利用が増えているということは、当然、シニア層が見やすい・使いやすいスマホサイトを設計する必要があります。そこで、新たに生み出された概念が「シニアフレンドリー」という考え方。文字通り、シニア層にとってフレンドリーなサイト、という意味ですが、果たして今公開されているWEBサイトの中で、「シニアフレンドリー」と言えるサイトはどれくらいあるのでしょうか?
スマホ操作に慣れている若い世代にとっては違和感なく閲覧できるサイトでも、文字が小さくて読みにくかったり、機能の説明が不足していて分かりにくかったり…といった問題点は結構あると思います。
また、スマホを使うシニア層が増えたことで、オンラインショップを利用するシニア層も増えてきています。特にECサイトでは、シニア層が離脱せず、スムーズに購買できるような親切なサイト作りが求められることになるでしょう。
「シニアフレンドリー最適化=SFO」の背景と重要性を認識しよう
では、具体的にデザイン設計する際にはどのようなところに気を付けるべきでしょうか?
当たり前ではありますが、文字サイズは大き目にしたほうが良いでしょう。ただでさえスマホサイトは情報が集約しすぎて、文字がぎっしりしてしまうことがあります。また、PCやタブレットであれば、テキストのサイズを「大・中・小」と拡縮できる機能を加えておくとさらにフレンドリーになると思います。
最近流行のフラットデザインも、シニア層にとってはかえってわかりにくくなっているかもしれません。例えば、ボタンのデザインなどが立体的になっておらず、「押せる感」が表現されいないと、「クリックできない」「タップできない」と直感的に思ってしまいます。ボタンは大き目に、かつ立体的に作成するのが良いでしょう。
特にスマホでは、スペースが限られているため、機能の説明などにアイコンを設置することが多いですが、シニア層にとっては、そもそもそのアイコンが何を意味しているのかを理解できておらず、さらにそれが「クリック(タップ)できる」という感覚もあまりありません。よって、アイコンだけでなく、このアイコンが何を意味するのか説明文も載せるようにしたほうが良いでしょう。
英語表記やカタカナ語、WEBならではの専門用語もシニア層にとっては不親切かもしれません。出来るだけ、日本語表記を併記した方がよいでしょう。ちなみに私の母親は「アカウント」という意味が理解できず、そのサイトの会員にも関わらず、会員ページにログインすることができませんでした。ここでは親切に、「●●●サイト会員の方はこちら」などよりわかりやすく説明する必要があると言えるでしょう。
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今後、スマホやタブレットの利用率は幅広い世代に広がっていくことが予想されます。今回は、シニア層向けのデザインについて考察してみましたが、これからはシニア層を含めあらゆる世代に受け入れられるサイト設計を考える必要がでてきそうです。WEBサイトのユニバーサルデザインを考える日が近づいているのかもしれませんね。